JR新橋駅徒歩5分、銀座線新橋駅徒歩6分、大江戸線汐留駅徒歩1分の汐留シティセンター歯科の歯科医師の仲田です。
本日は、虫歯、歯周病のことではなく、Tooth Wearというものについて
虫歯の細菌によるものだけではない歯の表面の損失をTooth Wearと言います。
個人のライフスタイルによって大きな影響を受ける多因子性疾患とされているものです。
実際の治療の現場では、その評価や原因の特定などが極めて困難で、いまだに統一された見解がないのが現状です。
歯の実質欠損より知覚過敏や補綴物の脱離などが起これば、患者様のQOLは著しく低下するため、早期に発見し、対応していくことが望まれます。
分類としては、酸蝕・摩耗・咬耗があります。
虫歯・歯周病に次ぐ第三の疾患として注目を集めています。
その原因や対処、予防方法なども多岐にわたり、実に奥の深いものです。
Tooth Wearは、1990年代から欧米で盛んに研究が行われています。
本来Tooth Wearm、多くの潜在的な要因により引き起こされた結果であると考えられています。
これは機械的な損失(摩耗・咬耗)と化学的な溶解(酸蝕)が同時に作用しているものです。
しかし、ほとんどのものが治療現場において、3つの分類に病態が一致するとは限りません。
また、Tooth Wearは、生涯を通じて歯質の損失が蓄積され、大部分は不可逆的なものであり、化学的に軟化した歯面は、摩耗と咬耗の影響を受け、さらに酸蝕によって促進されるのです。
今回はこの後、酸蝕について深掘りをしてみたいと思います。
・酸蝕とは
酸蝕(erosion)は、歯の硬組織の病的、慢性的かつ局所的な欠損の物理的結果であり、細菌の関与なしに、酸またはキレート特性によって歯の表面が化学的に溶けることとされています。
その病因は、外因性と内因性に大別されます。
1.外因性の酸蝕
外因性の酸蝕は、環境・飲食物・薬剤に由来する酸により、歯質を化学的に溶解するものです。
①飲食物
酸性飲食物は、多くの人に消費されるため、最も重要な因子であると考えられます。飲食物と酸蝕発症に影響を与える要因のなかで、特筆するべきは、滴定酸度における酸濃度とキレート特性があります。
一般的にはグレープフルーツジュースは滴定酸度が高いとされています。
これは、グレープフルーツジュースを飲むと口腔内のpHは低くなりますが、唾液の作用によって中性に戻るのに、他の飲料よりも時間を要するとされ、長時間pHの低下が生じているので、酸蝕のリスクが高いとされます。
②環境因子(職業性)
酸を取り扱う職業は、酸蝕の原因になります。最初に前歯切縁が影響を受け、臼歯部に及びます。また、口呼吸も関連因子となります。労働安全衛生法の対象となる職種(メッキ、電気メッキ、金属などを扱う、他)以外に、ソムリエや寿司職人なども、酸蝕の職業性リスクファクターとされています。
③薬剤
歯と直接に触れる酸性薬剤の頻繁な服用は、酸蝕のリスクの一つです。特にアセチルサルチル酸(アスピリン)、塩酸、アスコルビン酸(ビタミンC)、鉄強壮剤、コカインなどが該当します。他に、酸性の口腔清掃製品)歯磨剤・洗口剤)も含まれます。
④ライフスタイル
昨今の健康志向による酸性飲食物(柑橘類、スポーツ飲料、アルコール類、他)の積極的な摂取、およびその摂取方法により、これらが長時間歯面に貯留して酸蝕が惹起されます。口腔内に取り入れてから、歯が溶けますまでの過程に対処することが、酸蝕の予防に繋がります。
2.内因性の酸蝕
内因性の酸蝕は胃酸が原因であり、外因性ほど複雑ではありません。歯に胃の内容物が繰り返し接触すると、歯が溶解(脱灰)が生じます。多くの医学的、心理学的実感は、嘔吐によって胃酸を口腔内に逆流させます。嘔吐の行為は、公に容認されにくいため、歯科医療の現場でも迅速な対応を困難にさせています。
①反復性の嘔吐
嘔吐は、腹筋と横隔膜の力強い持続的な収縮により、胃の内容物を口腔外へ激しく吐き出させることです。嘔吐の頻度が週一回、あるいはそれ以上の人は、週一回よりも少ない人と比べ、酸蝕のリスクは31倍に上がるといわれています。
嘔吐の原因は、医学的疾患(胃腸関連の疾患)、薬剤の副作用、心因性嘔吐症候群、摂食障害、慢性アルコール中毒症、過飲酒、つわりなどが挙げられます。最近ではとくに、胃食道逆流疾患(GERD)が酸蝕の重篤な因子として注目されています。
②反芻
反芻とは、食後数分以内に胃から未消化の食物が逆流し、再び咀嚼・嚥下し、時々吐き出すといった、反復性、かつ不随意的な逆流を伴う症候群です。過食症は、減量のために反芻すると言われています。酸蝕は、逆流してきたものを口蓋、または頬側前庭に貯留させ、いつもと違う咀嚼パターンを伴う反芻で、歯列のさまざな部位に現れます。
以上が酸蝕に関しての内容となります
また、私のブログでは今回の続きを書いていきたいと思います。
摩耗・咬耗についてです。
参考文献
DHstyle 2017MAY Vol.11 No.135